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「STEEL CAN AGE」Vol.20 長谷川理恵号

MY ANGLE

Vol.20 長谷川理恵号
2008年8月発行

共に学び、共に楽しむ
“きょうがく”を取り入れた
環境教育を

「第1回 小学校における集団回収支援事業」
審査委員長
東京学芸大学名誉教授
小澤 紀美子(こざわきみこ)氏

環境教育は、単に環境の知識を伝達するものではなく、体験して学ぶことと、それらを結び付ける力を培う2つの要素が必要です。環境にかかわるあらゆる事象が学びの対象になりますが、体験を通して、子どもたちの感性を高めることが大切です。環境教育の究極の目的は、“生き方”教育なのです。

例えば、子どもは生き物が大好きですが、身近な生き物に自分の命を重ねることで、生き物がいる環境が汚れていたらどうなるか、生き物が暮らしやすい環境はどのようなものか、自分たちにできることは何かを主体的に考えることができます。自らが体験したことやテレビで見たこと、家庭の中で身に付けたこと、地域で散乱ごみの清掃をしている人から聞いた話などを結び付けていくことで思考回路が生成され、問題を発見する力とそれを解決する力が育まれていくのです。

環境教育では、コミュニケーション能力も育てなければなりません。学校は、いろいろな子どもたちが集まる小さな社会ですから、多様な価値観を認めることが必要です。私たちの社会では、「環境破壊」のみならず、人と人、人と自然、人と地域の関係性が壊れる「関係破壊」も起きています。子どもたちには、環境教育を通じて、他者とのコミュニケーションを図り、協働(コラボレーション)できる能力を身に付けてもらいたいと思います。

集団回収による環境教育を行う上で、注意しなければならないのは、指導方法を間違えると、子どもたちは「やらされている」「大人が勝手にポイ捨てして環境を汚してきたのに、自分たちに後始末を押し付けている」と思ってしまう可能性があることです。

子どもは大人のことをよく見ています。大人は「君たちの未来が豊かになるよう頑張ってきた反面、環境に悪い事態を招いてしまった。今後のあるべき社会を一緒に考えよう」という姿勢を持って子どもに接するべきです。そうすれば、大人をただ批判するのではなく、共に創る「共創」という考え方が身に付くはずです。

集団回収支援事業に応募される小学校に希望することは、学校全体が年間カリキュラムの中で構想を練って授業づくりを展開されることです。単に回収するだけではなく、深い学びに結び付けることがポイントです。時には遊び感覚も取り入れながら、共に学び、共に楽しむ“きょうがく”の精神を持って、環境教育に取り組んでいただきたいと思います。本事業における支援が、小学校における環境教育の原動力となることを期待しています。(談)

1943年北海道生まれ。
71年(株)日立製作所システム開発研究所研究員、93年東京学芸大学・同大学院研究科教授。現在は東京学芸大学名誉教授、東海大学教授、日本環境教育学会会長。専門分野は住居学、住環境問題、環境教育。社会活動では元中央教育審議会委員(文部省(当時))、中央環境審議会委員(環境省)、社会資本整備審議会委員(国土交通省)、日本学術会議連携会員「環境思想・環境教育分科会」委員長、NPO法人こども環境活動支援協会代表理事などを務める。05年環境保全功労大臣賞受賞。編著書は『これからの環境学習?まちはこどものワンダーらんど』(風土社)、『新しい教育課程と21世紀の学校』(ぎょうせい)、『児童心理学の進歩 2005年版』(金子書房)など多数。
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