自然と寄り添い、サンゴの進化を緩やかにサポート
東京海洋大学 海洋科学部 海洋環境学科
教授 岡本 峰雄氏 石西礁湖は従来からの生活排水や栄養塩類(肥料)の流入に加え、地球温暖化による海水温度の上昇によって、白化現象が起きました。そこでサンゴの幼生を産む親のサンゴを守り絶滅を防ぐ、サンゴ礁に幼生が着いて生育できる海域環境をつくるといった2つの視点から、環境省主導で再生事業が進められてきました。
日本に生息する約360種類のサンゴの約5分の1を占める石西礁湖では、毎年5月の満月の夜2km四方にサンゴが一斉産卵し、受精した幼生が数日間海中を漂います。中でも広範に子孫を残すミドリイシ属は、同じ海域の自己再生産だけではなく、日本全国の重要な幼生供給源となるため、その保全が非常に大切です。
私はサンゴ礁の保全では"進化をサポートする"という意識が必要だと考えています。現在は遺伝子的には明らかではありませんが、高水温に適応したサンゴも生育しており、その進化を緩やかに促す保全活動に取り組んでいますが、多孔質で幼生との親和性の高い素材でできた「マリンブロック」は、その基盤技術として重要な役割を果たしています。
今後も日本のサンゴ礁保全の最前線で見識をさらに深め、将来的には国際協力も実現していきたいと思います。(談)