JAPAN STEEL CAN RECYCLE ASSOCIATION お問い合わせ
スチール缶リサイクル協会
HOME
スチール缶を知る スチール缶リサイクル 協会の概要 STEEL CAN AGE スチール缶リサイクルQ&A
斉藤慶子号 高橋英樹号 空白
紺野美紗子号 榊原郁恵号 田中律子号 北倉茉奈・佳奈号 北野大号 長谷川理恵号 白井貴子号 毛利衛号 竹下景子号
リサ・スティッグマイヤー号 大橋マキ号 米村でんじろう号 梅沢由香里号 石原良純号 東ちづる号 吉田秀彦号
星野知子号 浅井愼平号 木場弘子号 吉田栄作号 庄野真代号 輪島功一号 増田明美号 中野浩一号 中嶋悟号

「STEEL CAN AGE」Vol.25 紺野美紗子

Vol.25 紺野美紗子号
2010年8月発行
海の多様な生物を育む"鉄のチカラ"


沖縄県宮古島
  海になじみやすいカルシウム成分でサンゴが再生
小山田 久美氏
JFEスチール(株)
スラグ事業推進部 主任部員
小山田 久美氏  
  サンゴは北緯30度〜南緯30度、水温約20〜30℃の光の届く浅い海に生育している。イソギンチャクと同じ捕食動物だが、体内に単細胞の藻が共生していて光合成を行っており、サンゴは藻からも栄養分をもらって生きている。しかし海水温が30℃を超える日が続くと、藻が体内から逃げ出してサンゴが白く見える白化現象が発生する。
 現在、世界の3分の1のサンゴが白化現象による絶滅の危機に瀕していると言われている。日本のサンゴも例外ではなく、沖縄県の石垣島と西表島の間に広がる日をあげている。マリンブロックは、鉄鋼スラグに含まれるカルシウムとCO2を反応させ、炭酸カルシウムとして固定化したものだ。マリンブロックの特徴について、JFEスチールの小山田久美氏は次のように説明する。
 「マリンブロックは、サンゴや貝殻と同じ炭酸カルシウムが主成分で海の環境になじみやすく、また多孔質体で表面には細かい穴が開いていてサンゴや海藻が根を張りやすく、海中での浮力を抑えた安定的な構造になっています」
 宮古島では東京海洋大学と共同開発した鉄鋼スラグ製のサンゴ着床具(写真3)を使って、幼生サンゴのマリンブロックへの着生試験を実施した。2005年に設置後、2008年5月にサンゴは直径13.5cm、2010年6月には38cmにまで成長(写真4)し、産卵も期待できるようになった。
 「着床具は外敵の魚やウニなどが入り込めないよう凹凸形状に工夫されています。サンゴが一斉産卵する場所に何万個と着床具を設置し、幼生を着床させ一定期間育成した後、ダメージを受けたサンゴ礁に設置したマリンブロックに、ダイバーが一つひとつその着床具を埋め込みました(写真5)。その結果、マリンブロック上で幼生から産卵サイズに成長するまでのサンゴ再生サイクルが完成することを確認できました」(小山田氏)。
写真3/鉄鋼スラグ製セラミック着床具

写真5/サンゴの幼生がついた着床具をマリンブロックに埋め込む 写真4/マリンブロック上に根づき成長したミドリイシサンゴ



自然と寄り添い、サンゴの進化を緩やかにサポート

スチール缶リサイクル協会 理事長 内田耕造(新日本製鉄(株)代表取締役副社長) 東京海洋大学 海洋科学部 海洋環境学科
教授 岡本 峰雄氏
  石西礁湖は従来からの生活排水や栄養塩類(肥料)の流入に加え、地球温暖化による海水温度の上昇によって、白化現象が起きました。そこでサンゴの幼生を産む親のサンゴを守り絶滅を防ぐ、サンゴ礁に幼生が着いて生育できる海域環境をつくるといった2つの視点から、環境省主導で再生事業が進められてきました。
 日本に生息する約360種類のサンゴの約5分の1を占める石西礁湖では、毎年5月の満月の夜2km四方にサンゴが一斉産卵し、受精した幼生が数日間海中を漂います。中でも広範に子孫を残すミドリイシ属は、同じ海域の自己再生産だけではなく、日本全国の重要な幼生供給源となるため、その保全が非常に大切です。
 私はサンゴ礁の保全では"進化をサポートする"という意識が必要だと考えています。現在は遺伝子的には明らかではありませんが、高水温に適応したサンゴも生育しており、その進化を緩やかに促す保全活動に取り組んでいますが、多孔質で幼生との親和性の高い素材でできた「マリンブロック」は、その基盤技術として重要な役割を果たしています。
 今後も日本のサンゴ礁保全の最前線で見識をさらに深め、将来的には国際協力も実現していきたいと思います。(談)

 



12|3 |4
Copyright