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STEEL CAN AGE

MAIN REPORT

今日からみんなスチール缶リサイクル博士

夏休み親子リサイクル・ウォッチング2001


スチール缶リサイクル協会では、夏休み中の小学生とその保護者を対象として、スチール缶のリサイクルルートをたどる資源化見学会「夏休み親子リサイクル・ウォッチング」を毎年開催し、最も身近な環境問題を体験学習する場を提供している。今年は神奈川・宮城・熊本の3地区150組300名の参加者が、スチール缶リサイクルの最前線を探検し、資源の大切さやリサイクルの重要性を学び理解を深めた。

夏休み親子リサイクル・ウォッチング2001in 神奈川

資源選別や鉄づくりの現場を行くあき缶リサイクル工作にも挑戦

●8月2日(木)開催
●親子50組100名参加
●見学施設

○(財)横浜市廃棄物資源公社鶴見資源化センター
○同公社鶴見リサイクルプラザ
○NKK京浜製鉄所
●8月10日(金)12:30~14:00
テレビ神奈川『HAMA大国』番組内で当日の模様を放送

スチール缶がリサイクルに適した素材であることを発見する旅

連日35℃を超える酷暑を記録した2001年夏。その暑さもピークを迎えた8月2日、多くの応募者の中から選ばれた神奈川地区の小学生とその保護者50組100名が、夏休み親子リサイクル・ウォッチングに参加した。

参加者に応募動機について聞いてみると、さまざまな答えが返ってきた。

「子供会でやっている資源回収のその先をぜひ知りたかったので」(横須賀市在住小学4年生・石渡真弓さん)

「学校でごみ新聞をつくったことがあって、スチール缶のリサイクルについて興味を持ったから」(茅ヶ崎市在住小学4年生・高野しょうごくん)

「友達に誘われて、夏休みの自由研究に役立てようと思って」(横浜市磯子区在住小学6年生・勝山佳織さん)

それぞれ思い思いの目的意識を持って集まった参加者を前に、スチール缶リサイクル協会の佐藤旭生専務理事は次のように挨拶し、夏休み親子リサイクル・ウォッチングの旅が始まった。

「今日はスチール缶がどんなルートで集められて、そしてどんなふうにして鉄に生まれ変わるのかを見てください。まず資源化センターでは、どのようにスチール缶が分けられ、資源として使うためどのような形に処理されているのかを見学してもらいます。

それから製鉄所では、ダイナミックに鉄がつくられている様子を見てもらいます。

鉄を溶かす所は1,600℃という非常に高い温度です。今年の夏は暑いと言ってもせいぜい38℃ぐらい。1,600℃というと、とても想像できないような温度ですね。そこにスチール缶スクラップが入れられます。

これだけの高温で酸素を吹き込み不純物を取り除くことにより、スチール缶は“何度でも”生まれ変わることができます。さらにスチールの良いところは、“何にでも”製品として生まれ変わるところです。スチール缶はスチール缶にもなりますし、自動車や家電製品、橋梁、建築用などの材料にも生まれ変わります。

リサイクルできるようにしっかり分別排出

一行がまず訪れた施設は、(財)横浜市廃棄物資源公社鶴見資源化センターと同公社鶴見リサイクルプラザ。

鶴見資源化センターでは、缶・びん・ペットボトルの他、フライパンやトースターといった小さな金属類が運び込まれ、それぞれ資源化処理されている。一行は鶴見資源化センターで中央管制室とびんの手選別作業を、隣接する鶴見リサイクルプラザでごみに関して楽しみながら理解を深めるコーナーを見学した。

「びんの色分けやペットボトルのラベルはがしが人の手によるものだと初めて知りました。すごく大変だなあと思いました。これからもちゃんとごみを分別して出そうと思います」(横浜市泉区在住小学3年生・田村啓祐くん)

「ふだん何気なく出している缶やびんも、これからはきちんと洗って、気持ちよくリサイクルできるようにしたいと思います」(横浜市鶴見区在住40歳代主婦・上地明子さん)

横浜市環境事業局の調べによれば、1999年度に市が処理したごみの量はおよそ162万t。これは2002年ワールドカップ決勝戦が行われる予定の横浜国際総合競技場およそ10杯分に相当する。また家庭から排出されたごみは、市民1人あたり年間292kgに達し、その処理費用に年間1万2,057円を要している。

市では現在、「循環型都市横浜」をめざして、2010年度において発生すると予測される潜在的なごみ量(250万t)を30%削減するため、さまざまなごみ減量化・資源化施策を推進している。

分別収集については、1993年3月缶・びんを対象に本格的にスタート、95年10月からは市内全域で実施されている。現在では缶・びん・ペットボトルが分別収集され、鶴見資源化センターをはじめ3カ所の施設で資源化処理が行われている。その結果、99年度には8,742tのスチール缶が資源化処理されている。

資鉄の美しさに感動 あき缶はすべて資源になる

続いて一行はNKK京浜製鉄所を訪れた。

京浜製鉄所は川崎・横浜両市にまたがる東京湾のウォーターフロントに立地する都市型製鉄所。東京ドーム140個分に相当するおよそ700万m2という広大な構内では、自動車や家電製品、鉄道、船舶などの材料に欠かせないさまざまな鉄鋼製品が生産されている。

スチール缶スクラップは横浜市や川崎市、東京都など首都圏南部から調達し、1年間でスチール缶18億本に相当する量を購入している。

一行は原料地区や高炉地区など構内をバスでめぐった後、製鋼工場と厚板工場を見学した。製鋼工場では、高炉でつくられた銑鉄と一緒にスチール缶スクラップを転炉に入れ、強い力で酸素を吹き込み鉄の用途に応じた成分調整を行い、強靱な鋼がつくられている。また厚板工場では、ようかんのお化けのような鋼の塊を1,200℃に加熱し、何回もロールの間を通して強い力で押し延ばし、厚さ4.5~360mm・最大幅5.35mの鋼板がつくられている。初めて鉄づくりの現場を目の当たりにした参加者は、その感動を次のように語っている。

「スチール缶をとかして鉄になった所をみて、スチール缶がどれだけ大切かわかりました。そして一つ一つのあき缶がすべて資源になることもわかりました」(横浜市鶴見区在住小学5年生・栗原みなみさん)

「真っ赤な鉄は太陽のかけらのようでした。鉄の美しさに感動しました」(川崎市麻生区在住小学3年生・塚本真百合さん)

「厚板工場では、いっしゅんのうちに厚い板が長くなったのでびっくりした」(横浜市鶴見区在住小学4年生・小池真理子さん)

「いつも飲んでいる缶ジュースの缶が、すごい熱い鉄の板になっているのがすごくビックリした。音もすごかった。ほのおで目がチカチカした。鉄の工場は本当に暑かった。外がすずしく思えた」(川崎市中原区在住小学3年生・奥田遥さん)

あき缶でかわいい動物をつくってみよう

灼熱の鉄づくりを体感した一行は、最後に製鉄所構内のアメニティホールで、あき缶リサイクル工作に挑戦した。

講師には子供向けクラフト考案の第一人者で、『もーさんのおもしろ工作ランド』などの著作で知られるゴトー孟さんを迎えた。参加者はゴトーさんの指導のもと、個性あふれるあき缶アニマルをつくっていった。

「親子での工作は共同作業でおもしろかった」(横浜市磯子区在住小学6年生・国分綾乃さん)

「工作はちがった形のリサイクルでとても楽しかった」(横浜市磯子区在住小学4年生・澤谷純くん)

「あき缶でとってもかわいいペンギンができました。私はくちばしが開くように工夫しました。みんなに見学したことを自慢したいです」(横浜市港南区在住小学5年生・丸山亜希子さん)

こうしてスチール缶を通して、リサイクルの重要性をさまざまな角度から体験した一日が終わった。スチール缶リサイクル協会の佐藤専務理事は、閉会にあたり次のように挨拶し、参加者親子50組全員にスチール缶リサイクル博士修了証を手渡した。

「リサイクルは家庭から始まります。毎日の日常生活で皆さんはリサイクルに参加されているのだということを認識してほしいと思います。燃えるごみとか燃えないごみとかと一緒にスチール缶を排出してしまうと資源にならないからです。家庭での分別さえできていれば、その後はルートに乗って無理なくリサイクルされることが、今日の見学会でわかっていただけたと思います。これからも限りある資源を大切にすることを忘れず、リサイクルを友達や周りの人たちと一緒に実践していってください」

夏休み親子リサイクル・ウォッチング2001in 宮城 & 熊本

スチール缶や缶飲料をつくる製缶・飲料メーカー工場を探検

●8月2日(木)開催
●親子50組100名参加
●見学施設

○(財)横浜市廃棄物資源公社鶴見資源化センター
○同公社鶴見リサイクルプラザ
○NKK京浜製鉄所
●8月10日(金)12:30~14:00
テレビ神奈川『HAMA大国』番組内で当日の模様を放送
●8月2日(木)開催
●親子50組100名参加
●見学施設

○(財)横浜市廃棄物資源公社鶴見資源化センター
○同公社鶴見リサイクルプラザ
○NKK京浜製鉄所
●8月10日(金)12:30~14:00
テレビ神奈川『HAMA大国』番組内で当日の模様を放送

7月25日開催宮城地区と8月9日開催熊本地区では、スチール缶を資源として分別収集・資源化処理を行っている自治体の資源化センター(仙台市リサイクルプラザ、鳥栖環境開発センター)の他に、スチール缶をつくる製缶工場(東洋製罐仙台工場)、中味を詰める飲料メーカー工場(仙台コカ・コーラボトラーズ蔵王工場、コカ・コーラ ウエストジャパン鳥栖工場)を見学コースに新たに加え、さまざまな関連施設からスチール缶リサイクルの最前線を探検した。

参加者の声

「1本の缶ジュースがどんなふうにつくられ、リサイクルされているのか。実際に目にして良くわかりました」(宮城郡利府町在住小学3年生・後藤秀太くん)

「いろいろな種類の缶がオートメーションで1分間に何千缶もできるラインにビックリしました」(仙台市泉区在住小学4年生・小鳥谷貴之くん)

「今まできちんと分別していたつもりでしたが、あき缶の中に異物が入っていたりするとリサイクルできなくなってしまうことを初めて知りました」(仙台市太白区在住小学3年生・佐竹春香さん)

「製缶工場で缶のつくられる速さにビックリ。コカ・コーラ工場では缶を洗い製品にするスピードに感心。個人では見学できる所ではないので、参加できて良かったです。スチール缶をリサイクルし、限りある資源を大切にしたいと思いました」(仙台市若林区在住30歳代主婦・佐々木由美さん)

「ごみをへらす、リサイクルするために多くの人ががんばっている。私もあき缶のポイ捨てをやめようと思いました」(熊本市在住小学4年生・上妻なるみさん)

「リサイクルの流れが少しわかってきました。帰ってからもう少しくわしく調べようと思います」(熊本市在住小学6年生・帆足典剛くん)

「スチール缶は分別していましたが、ごみというイメージを持っていました。リサイクルという意識を我が家に持ち帰り、家族にも話したいと思います」(熊本市在住30歳代主婦・松本武子さん)