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STEEL CAN AGE

ECO TALK

私たちの日々の食卓は、地球環境に直結しています。

スウェーデン人の父と日本人の母の間に生まれたLiLiCoさん。環境先進国・スウェーデンで生まれ育った彼女は、子どものころから美しい自然や森の恩恵を受けながら、環境意識に根ざした生活スタイルを営んできました。18歳で来日を果たし、いまやマルチタレントとして幅広い分野で活躍する人気者の彼女に、日本の環境問題への取り組みについて感じていることを語ってもらいました。

私はお仕事で地球環境をテーマにしたイベントに呼ばれたりすることがよくあるのですが、先日呼ばれたあるイベントで、登壇者にプラスチックのストローをさしたペットボトルが配られるということがありました。その場で、私は「ここから直さないといけないんですよ!」と釘をさしました(笑)。環境問題について考えるイベントで、それはないだろうというわけです。日本では地球環境を守るためにすべきことなど広く知識や理念としては浸透していると思うのですが、行動が伴っていないのではないかと感じることがよくあります。

例えば、スーパーマーケットでのレジ袋。日本でも2020年の7月からプラスチック製の買い物袋の有料化がやっと義務づけられたため、マイバッグを持参して買い物をする方が増えてきたのは素晴らしいことだと思います。でも、なぜかレジでお店の方が個別の商品を半透明のポリ袋で包むことがあります。「袋はいりません」と言ったはずなのになぜ、と思いませんか?お店側としては肉や魚のトレーなどから液体が漏れる場合を考えて、おそらくサービスのつもりなのかもしれませんが、これはいらないと思います。日本の包装は過剰だとよく言われますよね。化粧品やCDなど、ものすごく固く包装されているものが多く、まるで開けてほしくないんじゃないかと思うほど(笑)。包装を簡素にすることで、ごみを少しでも減らしていく努力が必要だと思います。

私はスーパーマーケットで使用済みになった食品トレーを回収してリサイクルする運動を広めるお仕事をしています。残念ながら食品トレーの回収率はまだまだで、30%程度。今回、取材を受けるにあたってスチール缶のリサイクル率を聞き、本当に驚きました。93.3%(2019年度)という数字はすごいですね。スチールは劣化せず、何度でも何にでもリサイクルできる、とても優秀な素材だということをあらためて実感しました。

鉄という素材で思い出したことがあります。私の実家で代々使っていた鉄のフォーク&ナイフを、母が亡くなった際にもらい受けて日本に持ち帰ってきました。おそらく100年以上前のカトラリーでずっしりと重いのですけれど、そこが良いんです。子どものころに食卓で使っていたカトラリーが、私のスウェーデンでの懐かしい思い出と結びついているんでしょうね。これからも大切に受け継いで使っていきたいと思っています。

昨年公開された『もったいないキッチン』という映画をご存じですか?この映画は日本の「もったいない」という言葉に魅せられたオーストリア出身の映画監督が日本を旅して、食品ロスの問題を追ったドキュメンタリーです。

実は、日本の食品ロスは世界トップクラスなんです。企業が品切れを防ぐために多く生産してしまったり、一方で購入した家庭で食べきれずに捨ててしまったり…。そうした1つひとつの小さな積み重ねで、まだ食べられるものが廃棄されてしまう状況が生まれていることが、映画を観るとよくわかります。「もったいない」という言葉は日本発で世界に知られているのに、その日本でこんなもったいない状況になっているなんて。

私たちの日々の食卓は、地球環境に直結しています。もっと多くの人に知ってもらいたい事実ですね。

 
 

profile
1970年スウェーデン・ストックホルム生まれ。日本にいる祖母から送られてくる小包に入っていた日本の雑誌やレコードを聴くうちに「歌手になりたい」という夢を持ち、18歳のときに来日。1989年から芸能活動をスタート。5年にわたるホームレス生活など下積みの日々を乗り越え、現在は映画コメンテーターをベースに、テレビ、ラジオ、雑誌など、さまざまなメディアで活躍中。最近ではミュージカルにも初挑戦。パワフルでユーモアいっぱいのトークは多くの人を元気づけている。